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第8話 逢えない日々

会議室の窓の外は、もうすっかり暗い。資料の山と、鳴りやまないメールの通知。立場上、年に数回、どうにも抜け出せない「戦場」のような日々が訪れる。そして、今がまさにその時だった。彼女と会えない日々が、もう一週間になる。いつもなら、仕事終わりに「...
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第7話 雲と綿あめ

休日の午後、天気予報は晴れ。僕たちは、ただなんとなく、大きな公園に出かけた。芝生にシートを広げ、僕は本を開き、彼女はスマートフォンをいじる。そんな、何をするでもない時間が、一番贅沢だと感じるようになったのは、いつからだろう。ふと、彼女が隣で...
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第6話 バイク

週末、ガレージのシャッターを開ける。そこに鎮座しているのは、僕が長年愛用しているバイクだ。若い頃、仕事で成功することだけを考えていた。でも、その成功の先に何があるのか、僕はまだ知らなかった。そんな時、バイクだけが僕を自由に解き放ってくれた。...
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第5話 秋とコーラ

秋の夕暮れは、少しばかり感傷的な気分になる。空は高く澄みわたり、風はどこか冷たい。会社からの帰り道、すっかり日が落ちた街を歩く。夏が過ぎ去った寂しさと、これから来る冬への期待が、混ざり合ったような不思議な季節だ。いつものように、仕事終わりに...
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第4話 サンドイッチ

朝、少しだけ早起きをして、彼女の朝食を作る。会社員時代から、朝は忙しく、食事はいつも適当に済ませていた。コーヒーを一杯飲んで、あとはコンビニで買ったおにぎりやパンをかじって、慌ただしく出社する。そんな生活を何十年と続けてきた。でも、彼女と暮...
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第3話 コロッケの誘惑

週末、彼女と二人で近所の商店街を歩くのが、最近の楽しみだ。普段はなかなか訪れることのない場所。活気あふれる声、立ち込める美味しそうな匂い、そして行き交う人々の笑顔。どれもが僕の心を、仕事のオンからオフへと切り替えてくれる。「あ、コロッケだ!...
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第2話 夕日とコーヒー

会社の窓から見える夕日は、いつもどこか寂しげだ。高層ビル群の隙間から差し込む光は、僕の疲れた心を映し出しているように見えた。今日一日、たくさんの数字と向き合い、難しい決断を下してきた。ふと、コーヒーでも飲もうかとデスクを離れ、給湯室に向かう...
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第1話 夜のドライブと焼き鳥

真夜中に、彼女と二人で車を走らせることがある。行き先は決めない。ただ、ハンドルを握る僕の横で、彼女が楽しそうに話してくれることが、一番の目的地だ。彼女の声は心地よく、まるでエンジン音と混ざり合うBGMのよう。そんな夜は、いつもより少しだけス...